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「あとどれだけ子宮を掘り続ければいいんですか?」 -『10万個の子宮』

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「あとどれだけ子宮を掘り続ければいいんですか?」という衝撃の1文で始まる話題の書籍。子宮頸癌ワクチン問題を起点に、倫理問題・ジャーナリズムなどに触れてて興味深い内容でした。

男とか女とか関係なく、沢山の人に読んで欲しいなあと思い、感想を書きます。

子宮頸がんワクチン問題とは?

有名な話ですのでざっくりと。子宮頸癌のワクチンの副作用を訴える人たちによる訴訟が発生。メディアなども味方につけた結果、子宮頚がんのワクチンは事実上の定期接種停止状態とまで陥ってしまったという問題です。

著者(村中 璃子さん)

 京都大学医学研究科非常勤講師。一橋大学社会学部出身、社会学修士。北海道大学医学部卒。WHOの新興・再興感染症チームの勤務を経て、現在は医学と社会学のダブルメジャーで執筆や講演活動を行っている。2017年には子宮頸がんワクチンの安全性について積極的に発信してきたことが認められ、英科学誌「ネイチャー」などが主宰し、公益に資する科学的理解を広めることに貢献した個人に与えられる「ジョン・マドックス賞」を日本人で初めて受賞した。

感想

ワクチン問題について

1番のポイントは、この問題に対して、実データを元にした科学的な議論が全く行われず、仮説や感情論で話が進み、事実上のワクチン定期接種停止状態まで陥ってしまったこと。副作用を提唱していた人たちはマーケッターとしては優秀だと思いますが、医療の現場でこのようなことがまかり通っているかと思うと、もう言葉が出ないですね。

著者である村中さんは「子宮がんワクチン問題は日本の縮図だ」と語っていましたが、まさにその通りかと。論理的に考えずに、感情に流されて、正しいことを正しいと言えないと、悪いマーケッターに踊らされますよということが非常によくわかりました。

治療に関するジレンマ

この問題を難しくしていたのはワクチンのせいだと言えば"治る"患者もいるということろ。またワクチン副作用というのは、患者の保護者の心の拠り所となってしまっていた所にあると思いました。

世の中にある多くの病気は"心"が起点になっていることも多く、データだけで語ることができない。そこに大きなジレンマを感じました。

しかし患者はともかく、医師や保護者がデータから導き出される真実と向き合うのを避けたら、おしまいだなと思います。大切なのは患者を直すことだけにエネルギーを注ぐこと。真実から目を遠ざけ、国を相手に感情をぶつけるなんて持っての他です。

日本のジャーナリズム

日本の報道はジャーナリズムではなく、「マーケティング支援」や「エンタメ」要素が強すぎるなと。関係者との中を深め、他のメディアよりも先に報道することを目指すというのは、完全にメディアとしての役割を失っていますよね。まあよく言われることですけど。